窃盗・万引き事件対応の弁護士

NO IMAGE

〇 窃盗罪の概観

犯罪百書によれば、令和元年の窃盗の認知件数は、53万2565件と一定の減少はあるものの認知件数の総数が74万8559件であることを踏まえると、刑法犯の認知件数の71.1%が窃盗罪であり、窃盗罪の事件数は日本において多数に及ぶと考えられます。

窃盗罪の手口としては、万引が17.6%、自転車の窃盗が31.7%、車上・部品狙10.1%、置引4.2%空き巣が3.7%など様々な類型が存在しています。

窃盗罪は、再犯率が高く、多くの人が被害に与えてしまう犯罪であることを踏まえると、窃盗罪をしてしまった際に弁護士に依頼をした場合には、個別の被害回復を試みると同時に、なぜ窃盗をしてしまう傾向があるのかを考え、再犯防止のためご家族や周囲の人々の協力を得ながら再犯を二度としないようにするための措置が大切であるということがわかります。

当事務所では、窃盗の弁護活動として被害弁償をしっかりとして行っていくと同時に、窃盗を行ってしまう原因を共に追及し、再犯防止のために活動を行い、できるだけの刑事罰の軽減を行っていけるような活動を実施していきます。

〇 窃盗罪の成立要件


 窃盗罪については、刑法上の犯罪であり、刑法に犯罪が成立するための要件が定められています。

①他人の財物を②窃取した者が窃盗罪として処罰され
10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すとなされています。

①他人の財物とは、財物の権利者以外の者をいいます。

もっとも、法律上は自分に所有権があるものであったとしても他の人が現在は占有しているものは占有権等の他者有している状況にあります。また、裁判所などの命令により他人が管理しているものは他人の財物といえます。

財物は有体物のみならず、電気をも財物とみなされるため、電気窃盗といった類型も想定されます。

②窃取とは、財物の占有者の意思に反して、占有を侵害し、自己または第三者に移転をすることをいいます。占有とは、財物に対する事実上の支配をいい、財物を事実上支配する意思を有しているか、財物を事実上占有している事実が存在するのから判断されます。

 置き忘れた物といっても、時間的、距離的に近く、被害者がすぐに取りに戻れる場合には、遺失物横領罪(刑法254条)ではなく、窃盗罪が成立することがあります。

〇 窃盗罪に当たる具体的な行為


・万引き:書店や薬局などから商品を持ち出す行為は窃盗罪が成立します。
・侵入窃盗:人の自宅や店舗などに不在の間に侵入し、財産的価値のある物を盗んだ場合には、住居侵入罪及び窃盗罪が成立するでしょう。
・車上荒らし:自動車から部品などを取る行為や自動車内にある物をとった場合には窃盗罪が成立します。仮に、財物を取っていなかったとしても、自動車の鍵を開けようとした時点で実行の着手が認められ、窃盗未遂犯が認められる可能性があるでしょう。
・すり:ポケットなどから財布を取る行為は窃盗罪となります。すりは窃盗罪の中でも重い類型と言われており、常習性が疑われるおそれがあります。また、財布などを取っていなかったとしてもハンドバックの口金を開けようとした場合には、窃盗罪の実行の着手は認められ、未遂犯が成立することがあり得ます。
・道路にある工作物の電線を切断する行為や銅板などを取る行為は、窃盗罪となります。
・キャッシュカードを用いて、ATMから現金を払い戻した場合には、ATMの管理者との間では、窃盗罪が成立します。
・電気窃盗:無断での電気を使用する行為は電気窃盗にあたる可能性があります。

 窃盗罪の量刑については、各種の行為の内容や被害金額、前科前歴などの有無、常習性の有無などにより異なってくることとなります。

・万引き事案
 被害金額が数百円の低額で前科前歴がない場合には、微罪処分や罰金刑などにより終了する場合もあり得ます。一方で同種前科がある案件では、正式裁判となった実刑が出される場合があります。
 いずれにしろ、被害者への被害弁償を行っていくことが大切となるでしょう。また、被害金額が低額な万引きについては、その案件がたまたま明らかになったのみで余罪が多くある場合があります。ストレス解消や依存症から窃盗を繰り返している場合がありますので、適切な再犯防止手段を取っていくことが大切となるでしょう。

・侵入窃盗案件
 侵入窃盗の案件では、住居侵入罪や窃盗罪が併合されており、前科前歴がない人物についても正式裁判が請求されている事例があります。また、被害者への接触など罪証隠滅のおそれがある等と判断され逮捕される危険性があります。被害弁償や身体解放に向けての活動を行っていき、不起訴処分、罰金、執行猶予と懲役刑を避けるよう活動を行っていくこととなるでしょう。

・自動車窃盗・自転車窃盗・車上荒らし
 自動車については被害金額が大きく、組織的な関与が疑われる可能性があります。被害品の還付のみならず、示談交渉、逮捕・勾留に対する対応を行っていくこと、再犯防止措置を取ることで、懲役刑を受けることを回避する活動を行っていくこととなるでしょう。車上狙い・荒らしについては、窃盗事件の中では、比較的重い犯罪と判断されることがあります。場合によっては器物損壊罪など他の案件と関連する場合することもあり得ます。
 自転車窃盗は、それ自体の被害額は5000円程度の場合もあれば、高額に至る場合もあり得ます。また余罪があるケースも多いため、上記のような活動を適切に行っていくことが大切となります。

・置き引きについて、財布などの被害品であるため被害額が高額に至る場合があり、比較的重い処断がなされることがあります。財布については、それ自体が価値がある場合やキャッシュカードなどの処分により被害者に与える損害が大きくなってしまう危険性があります。被害回復などの弁護活動をしっかりとしていくことが大切です。

・ひったくりについては、事案によっては強盗罪に該当する場合があり、重い類型として処理される場合があるでしょう。強盗事案として被害者に怪我をさせていた場合には、強盗致傷罪については裁判員裁判対象事件となります。ひったくりといった事案については当初の捜査罪名が窃盗罪であったとしても、強盗、致傷といったことが加わってくる可能性があるため、非常に重い類型となります。

〇 窃盗罪で情状酌量を求めていくポイント

 窃盗罪で、争いのない事件・自白事件では、情状酌量を求め、不起訴性分・罰金・執行猶予などのできるだけ軽い処分を目指していくこととなります。

・被害弁償の有無
 窃盗罪では、被害金額と犯罪行為の回数が情状面で大きな要素となります。犯罪行為の回数が一回のみであれば、被害金額が高額である場合には、一回での実刑が出される場合があり得ます。
 被害金額が大きいものであった場合には、量刑が重いこととなりますので、被害回復について努めていくこととなります。被害者から刑事告訴を求めない、重い処罰を求めない等の事態に至った場合には、情状の面でよい側面があります。もっとも、企業やドラッグストアなどの店舗については企業方針として一律に被害弁償、示談交渉を受け入れていないといったことがあり得ます。被害を受けた相手方が誰であるのかを検討し、適切な被害弁償を行っていくことが必要となるでしょう。

・動機・生活歴
 窃盗においては、どのような観点から窃盗を行ったのかも情状において大きな影響があります。生活環境に困り窃盗に至った案件と遊ぶ金目的で窃盗に至った案件とでは情状が異なってくることとなるでしょう。生活環境が困った理由において、仕事をどうしてやめたのか、理由な何か、再就職の努力はしたのか等についても把握していくことが必要となってきます。

・クレプトマニアや依存症などの可能性
 窃盗事件では、病的窃盗と呼ばれるような精神疾患や依存症などにより事件を起こしてしまっている事案があるといわれています。これらについては、お金に困って事件を引き起こしているわけではないため、通常の対応のみでは再犯防止をすることができないことがあります。そこで、カウンセリングや依存症の解消など被疑者・被告人にとって何が再犯防止で必要なのかを行動してもらい、検察官や裁判所への申入れを行っている。

・常習性の有無、手口、反復可能性について
 窃盗事件は再犯率が高く、常習性がある事案も存在します。常習性がある窃盗罪については常習累犯窃盗(盗犯等防止法)により重い刑事罰が定められています。仮に、実刑となった場合であっても、社会復帰に向けての準備ができていることを主張していくことが大切となります。

〇 窃盗を二度としないためにも弁護士への相談と弁護活動を

 窃盗事件については、被害金額や犯罪回数によって、量刑が大きく変わってくる事案となります。発生させてしまった事案については、被害弁償・被害回復に努めるとともに、再犯率が高いことを自覚し、どのようにすれば二度と窃盗罪などの犯罪をしないように更生計画を準備していくことが大切です。これらの準備を弁護人を通じて行っていくことで不起訴処分や略式命令、正式裁判となっても執行猶予判決、可能な限りの減刑を行っていくことができるとこととなります。大阪で窃盗事件対応の刑事弁護人を探されている場合には、ぜひ当事務所をご活用ください。

刑事事件・少年事件のお問い合わせ窓口 10:00~19:00

大阪での刑事事件・少年事件でお困りの皆様へ。 主な対応路線:天王寺駅・大阪阿倍野駅:JR大阪環状線、JR大和路線(関西本線)、JR阪和線、OsakaMetro御堂筋線、谷町線、阪堺電車、近鉄南大阪線・吉野線 主な対応エリア:大阪市(天王寺区,阿倍野区,住吉区、東住吉区、平野区、生野区、東成区、浪速区、西成区、中央区、城東区等),堺市、松原市、東大阪市、羽曳野市等大阪市近郊,京都府,兵庫県,滋賀県,奈良県など

CTR IMG