傷害事件対応の弁護士

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傷害事件対応の弁護士

〇 傷害事件の概要について

犯罪白書によれば、令和元年の傷害事件の認知件数は2万1188件と2万件を超えています。傷害罪については、被害者との関係で面識がない人物との案件よりも面識がある人物の案件が多いといわれていることもあり、平成29年時点でも配偶者に対する傷害事件は、2600件に及んでいます。

傷害罪の刑事罰は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金と幅が設けられています。被害の程度にはよりますが、初犯などでは、罰金や執行猶予を受けるケースが多く、懲役刑となる場合も6月以上から3年以下の間で収まっていることが多いでしょう。社会内での更生を行っていくためには、被害者との示談交渉、被害弁償を行い、再犯防止措置を取っていくことがあり得るでしょう。

 被害弁償では、傷害結果に応じて慰謝料金額が変わってくることとなります。治療費、治療期間の慰謝料、休業期間などに応じて損害賠償金の算定を行っていくこととなります。もっとも、後遺障害に該当する場合には、後遺障害慰謝料等の金額により相当高額な損害賠償金が発生するおそれがあります。傷害事件では、心理的な側面があり、高額な慰謝料支払いを求めるケースもあり得ますので、刑事事件であったとしても、適切な損害賠償金を算定していくとよいでしょう。

特に、人を死傷させた者は、3年以上の有期懲役となり、裁判員対象事件となることとなります。当初の逮捕容疑が傷害であったとしても、その後の傷害致死罪、殺人罪といった罪名が変わっていくことがありますので、適切な刑事弁護が必要となってくるでしょう。

〇 傷害事件関連の成立要件

〇 傷害罪の成立要件

刑法204条:① 人の身体を②傷害した場合に
15年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
① 人とは、犯人以外の自然人をいいます。
 ・胎児については、出産がされるまでは人とはされていません。そのため、考え方が分かれているものの、胎児そのものに対する傷害の成立は認めることができないとされています。

② 傷害したとは、人の生理機能に傷害を加えることをいいます。

典型的には、相手に怪我をさせる行為です。医師からの診断書が出され、全治1週間などとの診断が出されている場合には、傷害と考えられます。

相手方に危害を加えることを認識し無言電話等により人を恐怖させ神経衰弱症に陥らせる行為、連日連夜ラジオ音声や目覚ましアラームなどにより慢性頭痛症・睡眠障害・耳鳴り症
を負わせる行為も傷害に該当します。

〇 傷害致死罪の成立要件

身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、傷害致死罪が成立し、
2年以上の有期懲役の刑事罰となります。

典型的には、傷害を受けた被害者が身体衰弱のために死亡に至った場合や重い心臓の病変があり、暴行によって心筋梗塞を起こして死亡した場合などが傷害致死罪となるでしょう。

傷害致死罪と殺人罪との区別は、殺意の有無によって変化すると判断されます。殺意とは、相手を殺害するまでの意図を有しているといえるかを、凶器の形状、行為の動機、行為に至った経緯、行為の経緯、行為の態様、被疑者と被害者との人間関係、性格、供述などから総合的に判断されることとなります。殺人罪となった場合には、「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」重い刑事罰となっています。

〇 過失傷害罪の成立要件


刑法209条によれば、
① 過失により、②人を死傷した者は、30万円以下の罰金となります。

①過失とは、法律上の注意義務を負っているにもかかわらず、注意義務に違反する行為をいいます。道路交通法、労働安全衛生法、薬事法、食品衛生法などの取締法規、条理、慣習により注意義務を負っているにもかかわらず、注意義務に違反し、人に傷害を加えた場合となります。

典型例では、日常の家事で動物の散歩、スポーツでの事故、歩行者同時や歩行者と自動車の事故などの事例があります。

〇 現場助勢罪(206条)の成立要件について


傷害、傷害致死の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら傷害しなくても、現場助勢罪が成立し、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処されることとなります。

例えば、喧嘩の現場にける野次馬として喧嘩をはやし立てたなどの事例をいいます。

〇 暴力行為等処罰に関する法律違反について 

 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条の2、1条の3などにより銃砲刀剣類を用いた場合、常習的な傷害の罪を犯している場合には、一定の重い処罰が下される場合があります。

① 銃砲刀剣類を用いた傷害を行った場合には、1年以上15年以下の懲役の処されることとなります。

② 常習的な傷害の罪を犯した者が人を傷害したときは、1年以上15年以下の懲役に処されることとなります。傷害していない場合には、3か月以上5年以下の懲役となります。

〇 正当防衛の成否

 急迫・不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するためにやむを得ずした行為は処罰されないこととなっています。法益侵害が現に存在しているか、間近に差し迫った段階では正当防衛が許容されることとなります。

 もっとも、喧嘩事案や自らの挑発行為により積極的な加害意思が存在する、社会相当性がないことから正当防衛が認められないこととなります。

 傷害などの罪については、法律上の争点、事実上の争点について多数の論点が含まれることとなります。適切な弁護活動を行っていくためにも、傷害事件については早い段階から弁護人を付け、適切な対応を行っていくとよいでしょう。

〇 被害弁償・示談交渉

 傷害罪は、他人の身体を害する犯罪であること、被害者に方には、傷害結果が生じていることから謝罪をしていくことが大切です。そして、被害弁償や示談交渉を行っていくこととなります。もっとも、被害者は、被害を受けられたことで怒りの感情を持っておられることは当然です。被害者が謝罪として求めている内容について、適切に対応を行っていくことが必要でしょう。客観的な損害額、慰謝料を計算していき、想定される損害額を準備していくこととなります。誠意を示すために、一定の多額の金額を支払う場合もあり得ますが、不当請求にわたる場合への対応も考えられます。
 謝罪、被害弁償、示談交渉については、刑事弁護人と相談を行い、進めていくとよいでしょう。

〇 再犯防止への対策について

傷害事件を引き起こす背景には、怒りの感情の処理やコントロールができていないなどが指摘されており、再犯防止に向けての認知行動療法、アンガーマネジメントを行っていくことが大切となってきます。社会内での更生を行うにあたっても、カウンセリングや医療機関においてこれらの措置を考えていくことを検討しましょう。

〇 弁護活動について

 傷害罪の刑事弁護については、自白事件であるか、否認事件であるかなどによって対応方針が異なっていくこととなります。謝罪、被害弁償、示談交渉、再犯防止措置への対応を行い、不起訴処分、罰金、執行猶予などの対応を進めていくことが大切です。傷害事件に関してできるだけ警察からの捜査対象となった場合には、早期に刑事弁護人に依頼をご検討ください。

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