不起訴・執行猶予にしたい

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不起訴・執行猶予にしたい

このページでは、起訴・不起訴と執行猶予判決について解説しています。
刑事事件として事件化されてしまった場合には、基本的には検察官が判断をすることとなります。そこで、起訴前には、不起訴処分を求め、不起訴処分とならない場合にも罰金で略式処分を求めるなどの弁護活動を行っていきます。
そして、公判請求があった場合には、判決段階において執行猶予などのできるだけ軽い刑事罰としていくことを求めていくこととなります。

〇 起訴・不起訴とは

 起訴・不起訴とは、検察官で当該事件について最終的な判断を行うものです。
 検察官は、警察から送られてきた事件について、捜査が終了するとその事件の決定を行うこととなります。

(1)起訴
 起訴には、裁判所に検察官が訴えの提起を行うことです。起訴には、公判請求、略式命令手続き、即決裁判手続きなど種類があります。

(2)不起訴
 不起訴処分は、裁判所に検察官が訴えを行わないこと決定するものです。不起訴処分には、嫌疑はあるが訴追の必要性がないとして起訴猶予処分、犯罪の嫌疑がない場合、嫌疑が不十分である場合などがあります。訴訟条件が欠ける場合、刑事未成年や心神喪失などの罪とならない場合にも不起訴処分となります。

 不起訴処分は、犯人に関する事項、犯罪事実に関する事項、犯罪後の状況などを踏まえて、検察官の裁量により起訴するかどうかを決定していきます。これを起訴便宜主義といいます。

・犯人に関する事項としては、犯人の性格としてこれまでの素行、生活歴、保護環境、性癖、前科前歴の有無、常習性の有無といった要素が考慮されます。
・犯罪事実に関する事項としては、犯罪の軽重として、法定刑や法律上の加重軽重などの法的評価や被害の程度、犯罪の動機や目的、計画性、残虐性などが要素を考慮されます。
・犯罪後の状況としては、謝罪、改悛の情、再犯防止や示談、被害弁償の有無などが要素が考慮されます。

 そこで、弁護活動としては、犯罪の内容、被害の程度が他の案件と比べて軽微であることなど、被害弁償、示談交渉・謝罪を行う、再犯防止措置などを取っていることを準備し、検察官に申入れを行っていくことば弁護方針となります。

〇 不起訴のメリット

 不起訴処分では、逮捕などがされている場合には、前歴があるものの、前科とならない点がメリットのひとつとなります。

(1) 前科・前歴について
 前科・前歴は、法律で定まっている用語ではありません。
 前歴とは、警察に犯罪を行ったと疑われ逮捕されるなどの捜査の対象となった場合には警察に記録に残っている状態を指すものと考えられます。
 前科とは、有罪判決を受けた経歴のことを言います。
 これらは、いずれも限られた組織が情報を保有、利用することとなるため、記録されたかたといって直ちに外部に開示されるものではありません。
しかし、前科については、職業制限などの一定の不利益があります。懲役刑、執行猶予、罰金なども前科となります。前科に対して、前歴については、再び犯罪をした場合に重い処罰がなされるなどの要素となりますが、前科のように職業制限などの不利益はないものと考えられます。

前科となった場合には、犯罪事務規定により検察庁への履歴の記載や市町村が管理する犯罪人名簿に記載がなされます。犯罪人名簿については、①禁固以上は刑の執行が終わってから10年、②罰金以下は刑の執行が終わってから5年、③執行猶予は執行猶予期間を経過したときに、抹消されることとなります

(2)前科の不利益について

 前科には、事実上の不利益と法律上の不利益とが存在します。
 事実上の不利益とは、会社の懲戒事由に該当する場合や離婚の原因となることがあり得ます。前科があることのみをもって直ちに解雇権まで行使できるかは犯罪の内容や仕事の内容によりますが、事実上の不利益としてはあり得るものでしょう。

 また、法律上の不利益としては、警備員などの一定の仕事については、禁固以上の前科がある場合には、当該仕事に就くことができない場合があり得ます。

 前科があることで、パスポートの取得ができないといった話を聞かれたことがあるかもしれません。これは、旅券法の規定で発給をしないことができる規程があるために、行政の裁量にて発給がなされないことがあるためです。
旅券法では、①死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者、②禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者などの一定の事由がある者に対しては、一般旅券の発給をしないことができることが規定されています。パスポートの発給については行政に裁量権があるため、申請を行い取得ができるかを判断してもらうこととなります。
なお、パスポートを取得したうえで、入国できるかは、ビザの発給や入国審査は入国先の国の判断となります。大使館等に確認を行っていくこととなるでしょう。

 刑事事件となった場合には、起訴・不起訴において不起訴処分となることが社会的な不利益を避ける方法ということとなります。
 したがって、早期に刑事弁護人に相談を行い、不起訴処分となるよう働きかけを行っていくことが大切であるといえます。

〇 執行猶予とは

 起訴がなされ、公判請求が求められた場合には、できるだけ軽い刑事罰となるように公判で主張していくことが大切です。

 執行猶予とは、有罪判決に基づく刑の執行を猶予し、その間に犯罪をしないことを条件として刑罰権を消滅させる制度を言います。犯罪の事情が比較的軽微である、示談や被害弁償などが終わっているなどの事情を踏まえて、裁判所で判断がなされることとなります。

 実刑となってしまった場合には、刑務所に行かなければならない事態が発生してしまいます。そこで、社会内での更生が可能であることを示し、執行猶予判決を目指していくこととなります。

 執行猶予判決は、前科となるものの3~5年の期間に犯罪となるような行動をしなければ、普通の社会生活を送ることができるものとなります。

 公判請求がなされている場合には、無罪の場合を除いて、一定の不利益な判断がなされることは予想されますので、その中でも反省や謝罪、被害弁償に努め、できる限り軽い処分となるよう行動することが大切となります。

〇 早期に情状弁護を刑事弁護人に依頼を

 不起訴処分で、嫌疑がないことを主張していく場合を除くと、 不起訴処分・執行猶予処分のいずれの場合においても、情状弁護を行っていくことが大切であることがわかります。情状弁護としては、事実関係、示談や被害弁償、犯罪を行うに至った経緯、犯行前の環境、犯行時の状況、被疑者の事情、反省状況など踏まえて、情状弁護をお混張っていくこととなります。

 刑事弁護では、できるだけ早期に刑事弁護人に依頼を行い、弁護活動を行っていくことが将来受ける不利益を軽減させる手段となっていきます。刑事弁護について弁護人を依頼されたい方は当事務所をぜひ当事務所をご利用ください。

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