逮捕されたら警察から会社に連絡される?仕事はクビになる?

逮捕されたら警察から会社に連絡される?仕事はクビになる?

 出勤前に突然警察が自宅に来て連れて行かれてしまった。通勤電車で盗撮をしてしまい現行犯逮捕されてしまった。

 こういった場合に不安になるのは,「仕事に行けないけどどうなってしまうのだろう…」という点でしょう。その日のうちに警察に開放してもらえれば翌日から出勤できますが,身体拘束が長期間に及んだ場合,直接会社に連絡できなくなってしまいます。

 長期間出勤できなくなった場合,逮捕されたことが会社にバレるのではないか,警察から会社に連絡がいくのではないか。会社に逮捕のことを知られたらクビになってしまうかも…

 仕事は日常生活を送るために不可欠なものですから,心配される方は多いでしょう。ここでは,逮捕された場合に仕事がどうなってしまうのか,お話ししていきます。

1.警察から会社に連絡されることはある?

 結論から言うと,逮捕されたとしても警察から職場に連絡される可能性は低いでしょう。必要性がないにもかかわらず,警察が関係のない場所に連絡をするということは考えにくいです。もっとも,「連絡する必要がある」のであれば,職場に連絡されると思ってください。

 では,どのような場合に「連絡する必要がある」と言えるのでしょうか。具体的な例を挙げてみて行きましょう。

①事件が職場に関係している場合

 業務上横領罪や背任罪であれば,まさに会社との関係で起こした事件と言えますから,会社が捜査に協力する形になるでしょう。ですから,警察と会社が連絡を取り合うことは避けられません。

②事件の関係者が職場にいる場合

 職場に事件の目撃者がいる場合や,事件の被害者が職場の者であった場合等は,警察や検察は事件との関係でその方に話を聞かなければなりません。

 警察が直接の連絡先を把握しておらず,勤め先の連絡先しか知らない場合には,職場に「●●さんから話を聞きたい」と連絡が入るかもしれません。また,警察が直接個人の携帯等に連絡をしたとしても,その方が会社に話をすれば,職場にバレてしまうでしょう。

③職場に証拠品等が存在すると考えられる場合

 窃盗事件で,被害品がまだ見つかっていない場合は,職場に被害品を隠している可能性があるとして,勤め先のデスク等が捜査の対象になるかもしれません。また,盗撮事件や

④身元引受人に職場の人間を指定した場合

 警察に一度は連れて行かれたが,逃亡や罪証隠滅の恐れがないため,勾留等長期の身体拘束手続きを取らず釈放され,在宅事件となる場合も少なくありません。その場合,警察から自宅に帰る際,身元引受人に警察署まで迎えに来てもらい,警察が準備している身元引受書等にサインしてもらうことになるでしょう。通常は家族や親族等が身元引受人になることが多いですが,中には家族が遠方にいるため身元引受人がおらず,職場の同僚等に依頼するという方もおられます。

 身元引受人になってもらう以上,その方へは警察から連絡されてしまいます。逮捕された本人が,その方の個人的な連絡先を知らず,連絡先として職場の番号を指定した場合は,当然職場に連絡されることになります。

2.どういった場合に会社にバレる?

 以上のように,一定の必要性がある場合を除き,警察から会社に連絡される可能性は低いと言えます。では,警察からの連絡以外で職場に逮捕されたことが知られてしまうケースはあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

①社用携帯のGPS

 職場から携帯を貸与されている場合,会社によっては,GPSで所持している社員の位置情報を検索できるようにしているところもあるようです。

 出勤してくるはずの社員が出勤して来ず,連絡もない。通勤途中で事故に遭ったのでは!?そう思ってGPSを確かめてみたところ,再度の訪問地が警察署になっていた…

 警察では勾留されずに翌日から出勤できたとしても,「なぜ警察にいたの?」と聞かれてしまっては誤魔化しようがないでしょう。

②マスコミ等の実名報道

 事件の内容が重大なものであったり,社会的な影響が大きな事件であれば,テレビや雑誌等のマスコミにおいて実名で報道される場合があります。同姓同名の別人という可能性もありますが,実名報道がされる場合,氏名の他に年齢や居住地等も報道されることが多いですから,言い逃れはできないでしょう。

③勾留され,長期間出勤ができない場合

 勾留は逮捕に続く長期間の身体拘束です。10日~20日は身体拘束が続くと考えるべきでよう。勾留中は,自分で会社に連絡をすることはできません。留置施設の中からでも手紙は書けますが,電話やメールをすることはできません。連絡ができずに無断欠勤が続いた結果,後日会社に理由を説明する際に正直に話さざるを得なくなるというケースも多いでしょう。

 家族から「しばらく出勤できない」と連絡をしてもらうことは可能ですが,当然理由を伝えなければなりませんから,なかなか誤魔化すことは難しいかもしれません。

3.会社にバレたらクビになる?

⑴懲戒解雇は無効?

 では,逮捕の事実が会社にバレてしまい,仕事をクビになるということはあるのでしょうか。逮捕の事実がバレて会社に居づらくなり事実上辞めてしまうという方がおられることは事実です。しかし,単に逮捕されただけであったり,仮に有罪が確定して前科がついてしまった場合であっても,懲戒解雇される可能性は高くないと言えるでしょう。

 犯罪行為を行っても,あくまで仕事と関係のない私生活での行動です。そのため,就業規則等に「逮捕で解雇」「有罪確定で解雇」等の定めがあるという理由で懲戒解雇をされたとしても,その解雇は無効になる可能性があります。ただし,懲戒解雇されない場合でも,戒告等何らかの処分はあるかもしれません。

⑵懲戒解雇されるケースとは?

 一方,企業秩序を乱す犯罪や,会社の名誉等を傷つける犯罪であれば懲戒解雇が有効となる場合も十分に考えられます。

 背任や業務上横領であればまさしく企業の秩序を乱す犯罪と言えるでしょう。また,犯罪行為それ自体が重大なものである場合や,たとえば,タクシードライバーが飲酒運転で事故を起こした場合等は,会社の名誉を気付つけることになるでしょう。実名報道とともに勤務先が特定されてしまった場合等も,会社の信用に傷をつける結果になるかもしれません。

4.会社にバレないためには…

 職場関係の事件や重大事件であれば,職場に知られてしまうことは避けられないかもしれません。しかし,社会的に注目されるような事件ではなく,また,勾留されず早期に身体拘束から解放された場合には,職場に刑事事件のことが知られる可能性は低いと言えるでしょう。

 勾留されないようにするためには,勾留する必要がないということを捜査機関や裁判所に訴える必要があります。また,仮に勾留されてしまった場合でも,不起訴になれば早期の釈放が実現できるかもしれません。

 勾留する必要がないことを伝えたり,不起訴を目指す活動を行うことは,逮捕されているご本人やご家族では難しいでしょう。ご家族が逮捕されて職場への連絡ができなくなってしまった場合や,逮捕されてしまうかもしれないとお悩みの方は,弁護士にご相談ください。

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