暴行事件対応の弁護士
大阪天王寺の暴行事件対応の弁護士
〇 暴行事件について
犯罪白書によれば、令和元年の暴行事件の認知件数は、3万件を超え、犯罪類型の中でも比較的多い事件類型となります。発生場所としては、道路、駐車場、公園、空き地などの屋外が3割程度、住宅内での事件が約3割程度と言われています。暴行事件では、面識がない者同士の事件が最も多いですが、配偶者などの案件も4000件に及ぶなど配偶者暴力も深刻な状態にあります。
暴行事件については、喧嘩や絡まれるなどにより一般の方でも巻き込まれるケース、正当防衛が問題となるケースがあり得ます。一方で、喧嘩を仕掛けられた案件でも相手方から被害届が出された場合には、被害届の通りの事実があるかで捜査がなされるために、突然の逮捕・勾留がなされてしまうおそれがあります。ご家族が逮捕・勾留された場合や警察からの呼び出しを受けた場合には、早期に弁護人に依頼をすることをされ、示談交渉、被害弁償・身柄解放に関する活動を行うことで少しでも影響を軽減していくことができる場合がありえます。
〇 暴行罪の成立要件について
暴行罪の成立要件としては、①暴行を加えた者が②人を傷害するに至らなかった場合に、暴行罪が成立し、2年以下の懲役、30万円以下の罰金、科料という刑事罰が下されることとなります。
① 暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行為をいいます。
人に怪我を負わせないレベルでの殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばす等の行為は暴行ということができます。包丁を突き付ける、フォークリフトを人に衝突させるに接近させる行為なども暴行に当たります。
他人の衣服をつかむといった行為や抱き着くといった行為、たばこの煙を吹きかけるといった行為、大音量や光、熱などにより人の身体の安全を害するレベルの行為についても暴行に当たりますので、広く認められていることを認識しておいたほうがよいでしょう。
② 傷害とは、人の生理的機能に障害を加えることをいい、診断書などにより全治1週間の傷害といった診断が出る場合には、傷害罪として処理がなされることなります。
また、常習的に暴行事件を起こしている場合には、暴力行為等処罰ニ関スル法律によれば、常習として、刑法208条を犯したるものは、3月以上5年以下の懲役に処するとの規定があります。罰金刑がないために略式命令が出ない点には注意が必要です。
〇 正当防衛の成否
暴行事件は、喧嘩闘争などの事案でも問題となります。刑法は、急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するためにやむを得ずにした行為は、罰しないと規定しています。相手方から殴りかかられたとの事情がある場合には、正当防衛が成立する場合も存在します。
もっとも、喧嘩事案については、それ自体が社会相当性の欠ける行為であり、正当防衛が成立しにくい場合があります。それぞれの行為が急迫不正の侵害といえるかを事実関係から主張、立証をしていくことが大切です。
ご相談の際には、目撃者がいる場合など正当防衛の立証が可能かの検討を行っていくことが必要となります。
〇 暴行罪においては示談交渉や謝罪を行うことが大切
正当防衛などが成立しないような案件については、示談交渉が成立し、刑事事件化を求めないといった和解ができた場合には、不起訴処分、略式命令などの軽い事件として処理されることとなるでしょう。暴行事件については、傷害などの被害弁償が法的には観念しがたいため、解決金、慰謝料として数万円~数十万円程度を渡して解決するといったケースも多くあるでしょう。
謝罪を行うのか、行うとすればどのような謝罪を行うのかを検討する必要があるでしょう。暴行を振るわれた相手方は感情的になってしまうことはあることなど状況を踏まえ、適当な謝罪のやり方を考えていくことが必要となってきます。謝罪を行うときは弁護人などの第三者を通すなど直接被害者に接触をしないように注意をしましょう。直接被害者への接触をしてしまうことで、罪証隠滅のおそれなどと主張されるおそれがあり、逮捕などの事態を招く危険性もあり得ます。
示談交渉や謝罪については刑事弁護人を通じて申入れを行っていくほうがよいでしょう。
〇 逮捕・勾留されている場合
暴行事件において、逮捕・勾留されている場合には、長期間の勾留がなされないよう対処を行っていくことが必要となってきます。勾留がなされる前の段階であれば、検察官、裁判所に対して勾留請求を行わない、勾留請求が行われても勾留決定を下さないよう、罪証隠滅のおそれがないこと、逃亡のおそれがないこと、住所が定まっていることを主張していくこととなるでしょう。勾留が認められてしまった場合にも勾留に対する不服申立てを行うこで早期の身柄解放を目指していくこととなります。
〇 暴行事件を引き起こさないための取り組み
暴行事件については、再犯者率は40%程度が多いといわれており、再犯者率の高い案件であるということが考えられます。また、暴行事件については、人の生理的機能を害した場合には、傷害事件となり、15年以下の懲役、50万円以下の罰金と重い刑事罰となる危険性があります。二度と同じような事件を起こさないよう準備をしていくことが大切となります。
いかなる経過があったにしろ、暴力を振るってしまったことを踏まえて、①社会的に暴力を行使することでの解決が望ましいものでないこと、社会的な不利益が生じることを確認すること、②暴力へ至る自己の行動パターンを認識して、暴力以外の手段により解決策を見つけるなどの対応策を取っていくことが大切です。怒りの感情のコントロールについて、改善の必要があるのであれば、カウンセリングや医療機関により認知行動療法を受け、改善していくことが考えられるでしょう。
暴力事件を起こしてた原因はなんであるのか、ご自身の性質などを振り返り、どのようにすれば事件を起こさずに更生していけるのかを検討していくことが大切です。
〇 暴行事件における弁護活動について
暴行事件の被疑事実で捜査されている場合であっても、傷害結果の発生が診断書により明らかとなり、傷害罪に至るケースはあり得ることです。また、喧嘩の案件など正当防衛の成否が問題となる場合には、立証ができる状況であるのかを確認することが大切となるでしょう。被害の程度におうじて一定の慰謝料の支払いを行い、示談交渉を行っていくことで、できる限りの低い刑事罰を目指していくことが大切となってきます。暴行事件において、警察から捜査を受けている、家族が暴行事件で逮捕・勾留されているといった事情がある場合には、早期に刑事弁護人への対応を依頼をされるとよいでしょう。当事務所では、暴行などの事件に対応を行ってきた弁護士が所属しておりますので、ぜひ当事務所へのご依頼をご検討ください。