釈放・保釈したい
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釈放・保釈したい
弁護士に釈放・保釈を依頼した場合には、どのようなことができるのでしょうか。このページでは、刑事弁護活動で釈放・保釈を依頼した場合にどのような対応をしてもらえるのかの解説をさせていただきます。
〇 釈放・保釈のために弁護士ができること
逮捕・勾留された場合に、釈放・保釈することは、情状弁護を行うためにも、無罪立証を行うためにも大切な活動となります。ご家族が逮捕された場合などには、身元引受や被疑者、被告人の観護監督の計画を示し、身柄の解放を求める弁護活動を行っていきます。
① 勾留回避に向けた活動を行う。
逮捕をされたのち、警察は48時間以内に、検察庁に送致し、24時間以内に、勾留請求を行うかどうかが判断されます。
法律上は、逮捕に対しては、不服申して手続きはありません。嫌疑がないことを主張し、事実上の身体解放の申し入れをするしか手段はないでしょう。
勾留については、逮捕の引き続く長期間の身体拘束となるため、一定の要件のもとで、裁判所の審査により勾留決定がなされます。
弁護人に依頼をすることで、勾留の要件を満たしていないことを申し入れることが大切です。
② 勾留等に対する不服申立て
・勾留に対しては、準抗告という手段を使って不服申立て手続きを行うことが考えられます。これは、勾留の要件に該当しないことを主張していくものです。
・勾留は、(1) 罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること、(2)住居が不定であること、(3)罪証を隠滅すると疑るに足りる相当な理由があること、(4)逃亡し、または逃亡すると疑うに足りる理由があること、(5)勾留を行う必要性があることが要件となされています。
(1) 罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること
勾留は、罪を犯したことを確実に認定する手続きではありませんので、犯罪の嫌疑が一応認められる程度の理由である程度でよいとされています。嫌疑がないことを単に主張していくだけでは、裁判所で勾留の要件を満たさないと判断することは難しいでしょう。
そのため、嫌疑がないことを十分に主張する証拠が必要でしょう。
なお、無罪主張を検討している事案については、主張内容をあらかじめ伝えることとなれば、捜査機関に反論の準備を与えることにもなりえます。嫌疑がないことの主張・立証を勾留の段階で行うのであれば、弁護人とよく打ち合わせをしておくとよいでしょう。
(2) 住居が不定であること
被疑者等が定まった住所、居所を有しない場合には、勾留が決定されることとなります。
勾留質問の段階で、住所を黙秘するなどをした場合には、住居が不定であることが認められてしまうことがありえますので、ご家族からの援助・聞き取りを行い住所が存在していることの主張をしていくことが大切でしょう。
(3) 罪証を隠滅するに足りる相当な理由があること
罪証隠滅行為がなされるかどうかが判断されます(難しい言い回しとしては、罪証隠滅の対象、罪証隠滅の態様、罪証隠滅の現実的実効性(客観的可能性・実効性)、罪証隠滅の主観的可能性を踏まえて証拠が隠滅されるかどうかが考慮要素とされます。)。
事案の状況や警察・検察などが収集している証拠状況などによって個別に判断がなされるため、具体的事実を踏まえて、罪証隠滅行為の蓋然性がないことを主張していくことが大切です。弁護人と接見を行い、状況を踏まえて適切な時期に申立てを行うとよいでしょう。
(4) 逃亡・逃亡すると疑うに足りる理由があること
逃亡のおそれとしては、被疑者・被告人が刑事訴追を免れる目的で裁判所に対して所在不明となることをいいます。ひとつは、生活状況が不安定であること、年齢が若いこと、職業の内容、配偶者、子供、被扶養者の有無、居住地の状況を踏まえて判断がなされます。支えてくれるご家族がいることや資産、仕事の状況を主張立証していくことで逃亡・逃亡のおそれがないことを裁判所に伝えていくことが大切です。
また、事案が重大で、重い刑事罰が予想されるかどうか、前科前歴や暴力団との関係性が問題となります。
それぞれのご家族、お仕事の状況を踏まえて逃亡することがないことを主張立証していくことが必要です。
(5) 勾留の必要性
勾留の本来的な目的としては、刑事裁判を適切に行うために、被疑者・被告人の身柄を拘束しなければならない公益上の必要性があります。それらの目的と比しても、被疑者・被告人の被る不利益、弊害が大きく、比較考量の結果、公平を害していることを示していくこととなるでしょう。
そのほかに、逮捕手続きについて違法性があること、身体拘束の時間制限が遵守されていないことなどを踏まえるとことがありえます。
・勾留延長に対する準抗告
勾留の延長については、やむを得ない事由があることが必要です。事件が複雑困難であること、証拠収集を10日間に行うことが未了であることが要件とされます。裁判所により緩やかに認められている現状がありますので、勾留延長の必要性がないこと、やむを得ない事由がないことを積極的に主張・立証していくことが必要でしょう。
・勾留取消請求
勾留決定がなされたのちに、勾留の理由や必要性がある場合には、勾留取消請求を行うことがありえます。
勾留については、裁判所への申立てを行うことで、身体拘束の期間が短期間となることはありえます。また、示談交渉が終了し、被害者が被疑者を許してもよいといった事情となった場合には、早期の身体解放がなされることがありえるでしょう。弁護人を依頼し、被害者への示談交渉を進めると同時に、身体解放に向けて活動を弁護人に依頼をしていくとよいでしょう。
ご家族の方には、身元引受書、誓約書、身分証明書、給与明細、就業先との関係を示す書類などを揃えてもらうことがあります。
③ 保釈手続き
検察官から起訴がなされた場合には、起訴後の勾留として正式裁判までの間も身体拘束が継続されることとなります。保釈には、権利保釈の要件を満たすこと、裁量保釈の要件を満たすこと及び保釈保証金が必要となります。
刑事訴訟法では、一定の場合には、これを認めることが定められています。
① 重大犯罪の案件
殺人、強制わいせつ致傷、強制性交、強制性交等致傷、傷害致死、放火、強盗などの重大犯罪については、裁量での保釈のみが認められることなります。
② 以前に一定の有罪判決を受けた案件
以前に、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪判決を受けた場合は、裁量での保釈のみが認められることとなります。
③ 常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪をした案件
現住建造物放火、強姦、強制わいせつ、傷害致死、強盗、覚せい剤取締法違反などを常習としていることがあった場合には、権利保釈が認められず、裁量保釈となるかが判断されます。
④ 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある案件
罪証隠滅のおそれがあるかどうかが判断されます。すでに起訴されているために追加の罪証隠滅のおそれがないことなどを積極的に主張していくことが大切となるでしょう。被害者や証人との接触の可能性がないなどを踏まえるとよいでしょう。
⑤ 被害者や証人などにお礼参りのおそれがある案件
⑥ 氏名又は住居がわからない案件
①~⑥などの事情が認められないとしても、裁判所は、事件の軽重や内容、被告人の前科前歴、健康状況などの一切の事情を踏まえて裁量により保釈が認められる場合があります。
そして、保釈する場合には、保釈保証金を用意することが必要となります。保釈保証協会などから用意をする方法もあり得ます。
・保釈を行った場合には、保釈条件が定められますので、保釈条件を守らなければなりません。保釈条件を遵守しない場合には、保釈の取消しがなされ、身柄が拘束される、保釈金が没収されるなどの不利益を被ります。
・保釈保証協会からは、借入れの側面があり、審査により保釈保証金を受けることができない場合があります。また、審査までに時間を要する場合がありますので、ご家族などで協会に問い合わせを行い、手続きを進めていくとよいでしょう。
・保釈保証金は、公判に出頭するなどした場合には、返却されます。
・保釈以外の事実由来で追加の逮捕・勾留がなされた場合など、保釈の効力が失われる場合があります。共犯事件、余罪がある場合には注意が必要です。
〇 スムーズな身柄開放手続きは弁護士にご依頼を
当事務所には、刑事事件を得意とする弁護士が所属しております。身柄解放手続きは裁判所に対して弁護人が積極的に働きかけていくことが大切であり、短い期間に対応を進めていくことが必要となります。逮捕・勾留について、釈放・保釈をしていきたいとのご希望をお持ちの方は是非当事務所をご利用をご検討ください。
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