冤罪を晴らしたい

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冤罪を晴らしたい

〇 刑事裁判の構造


・刑事裁判においては、検察官が、起訴状記載の事実が存在することを立証し、裁判所は、犯罪の証明があったときには、刑の言い渡しをすることとなっています。刑事裁判で求められる犯罪の証明とは、通常人であれば誰でも疑いを差し入れない程度に真実らしいとの確信が得られる合理的な疑いを入れない程度の証明が求められることとなります。

 そして、無罪判決を得たいといった場合には、この犯罪の証明がないときといえることが必要となります。
 犯罪の証明がないときといえるようにするために弁護人としては、
① 検察官側の立証に対して合理的疑いのある事実、反対仮説が成立しうることを示していくこと
② 起訴状に記載された事実が不存在であること、被告人にアリバイがあることなどを示していくことなどが考えられます。

・控訴審の構造


 控訴審は、一審の内容を同じように審理を行うものではなく、一審判決について事後的な審査を行うものです。控訴審は、裁判で判決が言い渡された日の翌日から14日以内に控訴申立書(控訴裁判所宛て)を第一審裁判所に提出することとなります。控訴の理由は控訴申立書を出す段階では不要ですので、不服がある場合には早急に控訴をするかを決定し、控訴申立書は提出しておくことが大切です。

 控訴審の審理の対象は、法定された控訴理由に限定されます。控訴趣意書を、裁判所が規則で定める期間に定める期間に提出することとなります。
① 量刑不当 (381条 刑の量刑が合理的な裁量の範囲外であること)
② 事実誤認 (382条 罪となるべき事実、違法性・責任阻却事由である事実など、情状に関する事実以外で、判決に影響を及ぼすことが明らかであること)
③ 法令適用の誤り (380条 適用すべき法令を適用しなかった、無効は法令を適用した、誤った法令を適用した場合等となります。)

控訴趣意書に控訴理由控訴審でも事実の調査が必要となった場合には、新しい事実を取調べされることはあります。

冤罪を主張する場合には、事実誤認として、判決事実や重要な情状事実など、判決主文に影響すべき事実の誤認に結び付くように主張を行っていくことが必要となります。

・再審の構造


 再審は、事実認定の不当を理由として確定判決に対する特別な救済手段を言います。再審が認められる事例はかなり稀な事例となります。再審は、一定の場合に言い渡しを受けた利益のためにすることができることとなります。
① 証拠書類・証拠物に偽装・変造が証明されたとき
② 証言、鑑定、通訳、翻訳が確定判決により虚偽で会ったことが証明されたとき
③ 無罪を認めらえるべき明らかな新証拠を発見したとき 等の場合となります。
 ここでの明らかな証拠とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいいます。

〇 取調べの対応

 事実関係を争っている事件については取調べの段階でしっかりと対応をしていくことが大切です。取調べ段階では、黙秘権などの行使を適切に行うことなどアドバイスを行っていくこととなります。
 警察などに対して冤罪であること、潔白であることを理解してもらいたいと様々な話をしていくこともありえます。しかし、証拠や記録に基づかずに話をしたときには、矛盾や経緯が異なることは通常あり得ることです。これらを調書に記載がなされるとことで、合理性がない供述である、変遷があるといった信用性がないと主張されるおそれがあります。
 したがって、取調べの段階においても弁護人からアドバイスを受けていくことが必要でしょう。

〇 証拠収集活動

 事実関係について、警察・検察の被疑事実について、嫌疑がないことを明らかとする場合には、被疑事実と矛盾する証拠を収集し、主張していくことがあり得ます。事実関係を弁護人とよく話し合いを行い、様々な証拠を任意に集めていくことが大切です。また、公判が請求された場合には、任意開示や裁判所による証拠開示命令を出すよう求めていくことがあり得ます。行政機関、カルテなどの23条照会開示、専門家への鑑定依頼、鑑定者からの報告書、現場調査、報告書の作成などを作成していくこととなります。公務所照会や押収、証拠保全などの各種の手続きを検討していくとよいでしょう。

〇 不起訴処分を目指す

 起訴をされた場合には、99%が有罪といわれ、無罪となることは非常に難しいとされます。これは、嫌疑が十分でないときは、公判を請求しないといったことがなされるためです。そこで、冤罪である、嫌疑が不十分であることを検察官に対して主張、立証を行い、不起訴処分を目指すことが大切となります。

〇 検察官の立証構造を把握

 公判が請求された場合には、検察官の立証構造を把握し、どこを争点とするのか、合理的疑いを差し入れる余地があるのかを検討していきます。捜査段階では、弁護人であっても、証拠は開示されないため、公判が請求された場合には、公判請求予定の開示、任意開示を求めていくこととなります。事案によっては、公判前整理手続きに付すように裁判所に求め、類型証拠開示、主張関連証拠開示などを行う事案もあり得るでしょう。

 立証構造を把握した場合には、主張のケース・セオリーを考え、証拠と矛盾しない、証拠と一致する無罪主張の流れを作成します。弁護側での立証を計画していきます。

〇 法廷弁護活動・尋問


 弁護活動やケース・セオリーを立証していくために、立証計画を立てていきます。
 弁護側で証拠を収集し、提出をしていくこと、尋問についての準備を行っていくこととなります。証人尋問を行う場合には、事実経過や争点を把握し、何を立証したいのかを検討していくことなります。残念ながら、ドラマのように証人尋問で新しい事実を発見することはほとんどありません。合理的疑いを差し入れる余地があるように、証人尋問を行っていくこととなります。尋問時間には時間の限りがありますので、争点を絞り、主張を行っていくこととなります。
 
 否認事件、冤罪を晴らしていくことは刑事事件では、非常に困難な作業であることは事実です。早期にご自身の主張を整理し、集められるべき証拠を集め、しっかりと主張をしていくことが大切です。

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