大麻取締法違反対応の弁護士
〇 大麻取締法違反の概要
犯罪白書によれば、令和元年に大麻取締法違反の検察庁新規受理人員は、6798人となっています。大麻取締法は、覚せい剤取締法違反事件についで、薬物事案としては多い犯罪類型となっています。大麻の規制については、国によって異なり、様々な考え方が存在していますが、少なくとも現在の日本国では、大麻にはゲートウェイドラッグとして、他の薬物を使用するきっかけとなってしまうおそれが高いといわれています。大麻を利用していく中で、その他の薬物への抵抗が薄れ、覚せい剤取締法違反などに繋がってしまうことが考えられています。
〇 大麻取締法違反の類型について
大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいいます。大麻を所持すること、譲渡や譲受、栽培、輸入・輸出については処罰がなされることとなります。営利目的がある場合にはより重い処罰が定められています。
・所持 (営利目的なし、営利目的あり)
・譲渡・譲渡 (営利目的なし、営利目的あり)
・栽培 (営利目的なし、営利目的あり)
・輸出・輸入 (営利目的なし、営利目的あり)
なお、覚せい剤取締法違反のように使用罪については規定がなされていません。大麻取締法違反の被疑事件についてでも覚せい剤取締法使用罪の有無が検討されることになります。もっとも、大麻取締法違反についても使用罪を追加するのとの議論はありますので、今後使用罪が加えられることはありえるでしょう。
栽培罪については、7年以下の懲役と重い刑事処罰となります。近年は大学生などの若者がインターネットで栽培方法を調べ、栽培を行っているなどの事案が発生しています。所持している分量や栽培方法、売買の利益を上げていたことなどがあれば、営利目的栽培罪として初犯でも実刑判決が下されるおそれがあります。
大麻取締法違反は軽い処罰とは言えず、刑事弁護士人と共に情状弁護を積み重ねていくことが必要となってくるでしょう。
(1)所持・譲受・譲渡
大麻取締法24条の2第1項には、大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、譲り渡した者は大麻取締法違反事案として、5年以下の懲役刑に処されることとなります。
大麻所持の典型例としては、職務質問によって大麻を所持していた場合や家宅捜索によって大麻が発見された場合などが多いでしょう。簡易検査を行い、簡易検査において大麻を所持していることが判明した場合には、現行犯逮捕がなされることがあるでしょう。簡易検査で大麻の反応がでなかった場合でも科学捜査研究所などで正式鑑定となった場合に逮捕がなされるといったケースがあり得るでしょう。
大麻取締法所持量において、刑事罰の重さが変わってくることがあります。
(2)栽培・輸入・輸出
大麻取締法24条第1項には、みだりに、栽培し、輸入し、輸出した者は、大麻取締法違反事案として、7年以下の懲役刑に処されることとなります。
近年の事例としては、自宅などの民家で大麻を栽培していた事案などがあります。輸入事案としては、海外から密輸しようとした際に、税関検査において摘発されるケースがあり得るでしょう。
(3)営利目的
営利目的とは、大麻の所持・譲渡・譲渡・栽培・輸入・輸出をすることによって財産的利益を得る動機を有していることをいうと考えられるでしょう。
営利目的を有していたことは悪質と考えられ、重い刑事罰となっています。懲役に加えて、営利目的で経済的な利益を得ていたために情状により罰金刑が共に科されることとなります。
・営利目的所持・譲受・譲渡
大麻取締法24条第2項では、営利の目的を有していた場合には、7年以下の懲役に処し、情状により200万円以下の罰金が懲役とともに科される場合があります。
・営利目的栽培・輸入・輸出
大麻取締法24条の2第2項では、営利の目的を有していた場合には、10年以下の懲役に処し、情状により300万円以下の罰金が懲役とともに科される場合があります。
営利目的では、これまでの取引の履歴や栽培の分量などにより判断がなされていくこととなります。
(4)麻薬特例法
麻薬特例法(正式名用:国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)により、業として薬物犯罪を行う場合には、重い刑事罰が下されています。
麻薬特例法第5条2号によれば、業として行う不法輸入等として、無期又は5年以上の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。
麻薬特例法では、無期懲役があるために、裁判員裁判の対象事件となります。
〇 大麻事件のおける刑事弁護活動
大麻取締法違反については、行為態様によって刑事罰が大きくことなってくる場合があります。営利目的栽培や麻薬特例法対象事件では非常に重い事件となるため、初犯であっても実刑が下されるおそれがありますので、刑事弁護人に依頼をして情状を積み重ねることが大切となるでしょう。
大麻取締法違反の事件では、逮捕・勾留がなされるケースがよくあります。
薬物事案に共通し、入手ルートが問題となってきます。認め事件については、薬物の購入先、入手ルートを明らかとしていくことが大切となってきます。捜査機関としては、薬物の拡大や暴力団の資金源となることを防止するために、入手ルートの捜査が終了していなければ、罪状隠滅のおそれがあると判断されるためです。
逮捕・勾留において、勾留延長の阻止や保釈手続きを行い、身柄解放を目指していくことが考えらえるでしょう。
裁判での情状面においては、薬物との関係を断ち切るといった側面からは購入ルートを明らかにしていないことは裁判官が薬物を再び利用できる環境から脱することができていないとの印象を充てるおそれがあり得ます。情状立証としては不利な取り扱いがなされるおそれがあるため、入手ルートの説明などについては弁護人と相談をして、話していくとよいでしょう。
大麻についての依存性は争いがある部分ではありますが、他の薬物との関係でゲートウェイドラッグとなるなど、他の薬物との親和性が指摘されています。他の薬物については依存性が高いものが存在することを踏まえると、薬物離脱のために医療機関などを利用していくことを進めていくことが考えられるでしょう。社会内での更生を行っていけることを示すために、薬物事案において受刑者が受けている更生プログラムと同様の更生への取り組みを行っていくことは情状立証を行う上でも一つの要素となりえるでしょう。外部団体の協力を得て、薬物犯罪からの離脱を目指していく実績を積み重ねていくとよいでしょう。
正式裁判としてご家族のサポートや就業先での援助を得て、情状証人として出廷をお願いすることや即決裁判手続きにおいて陳述書を出していくなどの対応をすることなど、社会内での更生が可能であることを示していき、執行猶予などできるだけ軽い刑事罰を目指していくこととなります。
否認事件について、逮捕や証拠収集過程に違法がないかなどを検討し、黙秘権、署名押印拒否権などを活用して自白調書や不利な調書を取られないように準備をしていくこととなります。故意の不存在などの法的争点の主張を行う場合には、故意の不存在を基礎づけ具体的事実の証拠を準備していくことが必要となってきます。否認事件については、できる限り早期から刑事弁護人の援助を受け、取調べへの対応などを行っていくこととなるでしょう。
〇 大麻取締法違反事件については刑事弁護人へ依頼を
大麻取締法違反事件については、早期の身柄解放、社会内での環境調整、情状弁護、否認弁護などの様々な刑事弁護を行っていくことが考えられます。また、逮捕される場合や公判請求がなされるおそれがあり、適切な対応を行っていくことが大切です。大麻取締法違反により家族が逮捕された場合、警察の簡易検査を受け、正式検査により逮捕が予想される場合など法律事務所において刑事弁護人の依頼をされるとよいでしょう。
当事務所では、薬物事案を数多く取り扱った弁護士が所属しておりますので、薬物事件についての刑事弁護人をお探しの場合には、当事務所のご活用をご検討ください。