覚せい剤取締法違反対応の弁護士

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 覚せい剤取締法違反事件などの薬物事案については、重い犯罪であるために、刑事の弁護人を入れるべき必要性が高い案件です。このページでは、覚せい剤取締法違反事件についての解説をしております。

〇 覚せい剤取締法違反事件の概要

犯罪白書によれば、令和元年の覚せい剤取締法違反事件で、検察庁での新規受理人員として1万3325人が受理されています。覚せい剤取締法違反にて刑務所から出所後5年以内に再入率が高いことが報告されており、再犯率が高い案件となります。
各行為類型にもよりますが、覚せい剤取締法違反の案件では、初犯かどうか、使用料はどの程度あるのか、営利目的であるかどうか、依存症状があるかといった様々な事情をみて、量刑が決まっていくこととなります。初犯、単純使用で、微量であれば執行猶予判決が出る場合もありますが、再犯防止措置を取らなければ、再び同様の犯罪をしてしまい実刑となってしまうことがあり得てしますこととなるでしょう。
したがって、覚せい剤取締法違反事件については、再犯防止のために何をすべきかをしっかりと準備していくことが必要となってきます。

〇 覚せい剤とは何か。

 覚せい剤とは、フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及びその塩類をいいます。覚せい剤の使用をすることで、交感神経や中枢神経が刺激され、多幸感・自身感が増大し、眠気や食欲を抑えるなどの効果が生じます。大きな快感が得られる等がある一方で、幻聴、妄想、攻撃的行動などにより社会関係、家庭関係などが破綻に至ってしまう可能性があり得ます。覚せい剤には精神的な依存症があり、使用を繰り返すことで耐性ができよい多量の覚せい剤を使用してしまうといったスパイラルに陥る可能性があります。覚せい剤の使用により自己をコントロールする力が失われて行ってしまうために、適切な覚せい剤からの離脱をしていかなければ再犯のおそれがある危険な事件であるといえます。
 覚せい剤を使用することは、家族や社会関係を破壊してしまうこと、ひいては社会・国家的な利益を害されることなるために、規制がされます。

〇 覚せい剤取締法違反での規制類型

 覚せい剤については、覚せい剤取締法により各5種類の行為が規制されています。

① 覚せい剤の所持(営利目的なし・営利目的あり)
② 覚せい剤の使用(営利目的なし・営利目的あり)
③ 覚せい剤の譲渡、譲受(営利目的なし・営利目的あり)
④ 覚せい剤の輸出、輸入(営利目的なし・営利目的あり)
⑤ 覚せい剤の製造(営利目的なし・営利目的あり)

なお、覚せい剤の営利目的での輸入、輸出、製造については、無期懲役があるため、裁判員裁判の対象となる可能性があります。

〇 覚せい剤取締法の成立要件


(1)所持・譲渡・譲受の禁止

覚せい剤取締法41条の2第1項には、覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処することを定めています。

典型例としては、職務質問時に自動車内に覚せい剤を所持していた場合です。覚せい剤の所持が判明した場合には、警察署などで尿検査を求められるなどのパターンでは、覚せい剤の所持に加えて、使用罪での同時ないし追起訴を受けることがあり得るでしょう。

友人と同居していたために、覚せい剤の存在自体を知らなかった場合には、使用の疑いがないこと、居住の際の利用関係、覚せい剤の購入などないことなど全く知らなかったことを主張・立証を行っていくこととなります。

覚せい剤事案については、初犯でも逮捕・起訴がなされることが多く、他の薬物事案と比しても重い刑事罰となっているといえるでしょう。

(2)使用の禁止


覚せい剤取締法では、19条において、一定の場合のほか、何人も、覚醒剤を使用してはならないことが定められています。一定の場合とは、医師や研究者が治療などのために利用する場合です。そして、覚せい剤取締法41条の3第1項第1号では、覚せい剤の使用の禁止に違反した者に対して、10年以下の懲役に処することを定めています。

通常は、尿の任意提出を受け、尿の中から覚せい剤の成分が検出されるかどうかにより判断がなされます。覚せい剤の成分が検出された場合に使用していないことを立証することは相当困難となります。体の自由を奪われ無理やり覚せい剤を飲まされたなどの特別な事情があることが必要となってくるでしょう。

初犯の場合であれば、覚せい剤の使用料などが少ないなどの事情を踏まえて、執行猶予付きの判決が出されるケースもあります。

(3)製造、輸入、輸出


覚せい剤取締法では、41条の1第1好において、みだりに、輸入し、輸出し、製造をした者は、1年以上の有期懲役に処すると規定されています。これは、覚せい剤の栽培、輸入、輸出については覚せい剤による社会汚染を広げるおそれが高いことから重い刑事罰が科されているものと考えられます。

典型例としては、覚せい剤を輸入し、スーツケースで携帯していたところを、発見された場合などが考えられるでしょう。相当量を密輸していたとすれば、営利目的での犯罪であることが疑われます。近年は、個人がインターネット取引で覚せい剤で輸入するなどの事案が発生しています。
また、覚せい剤について、生薬から抽出してり、化学原料等によって密造していた場合には、製造の罪で問われることとなります。こちらについても自己使用を上回る分量を製造するなどをしていた場合には営利目的が疑われることとなるでしょう。

(4)営利目的の場合
営利の目的とは、覚せい剤の譲渡等の行為によって財産上の利益を得ることを動機とする場合をいうと考えられます。営利目的の場合には、利益を回収する趣旨などから、罰金刑などが科される場合もあり得ます。

覚せい剤取締法は、各種類の行為について営利目的で行っていた場合には重い刑事罰を科しています。

・営利目的輸入、輸出、製造
41条の1第2項によれば、営利の目的で、覚せい剤を、みだりに、輸入、輸出、製造をした者には、無期もしくは3年以上の懲役に処し、情状により懲役刑と共に1000万円以下の罰金が併科されることになります。

・営利目的所持、譲渡・譲受
41条の2第2項によれば、営利の目的で、覚せい剤を所持、譲渡、譲受をした者には、1年以上の懲役に処し、情状により懲役刑と共に500万円以下の罰金が併科されることとになります。

・営利目的使用
41条の3第2項によれば、営利の目的で、使用禁止の規定に違反した者は、1年以上の有期懲役に処し、情状により懲役刑と共に500万円以下の罰金が科されることがあります。

利益を上げる目的で、覚せい剤を反復、継続的に顧客に注射をしているなどのケースでは営利目的での使用罪が問われる可能性があるでしょう。

〇 覚せい剤から離脱するための医療機関の利用


 覚せい剤事件では、刑事施設において、薬物依存離脱指導を受けていくこととなります。これは薬物事案については再犯率が高く、懲役刑での懲罰のみならず、薬物からの離脱にむけて対応策を設けることが大切となります。薬物を使用していた生活パターンを見直し、社会内でどのようにすれば、薬物に頼らずに生活をしていけるのかを考えていくこととなります。様々な医療機関やカウンセリングを受けて、薬物依存症などからの回復を目指していくとよいでしょう。
 刑事裁判を受ける際には、多くの方が薬物を二度とやめようと決意をされている方も多くいます。しかし、そのような気持ちを有していたとしても社会内での不適合によって薬物に対して再び利用してしまうおそれがあります。刑事裁判でできる限りの減刑を求めていくのみならず、社会内でどのようにすれば薬物を使用せずに生活できるのかという更生計画を立てていくことが大切でしょう。

〇 覚せい剤事件の刑事弁護について

 覚せい剤事件では、覚せい剤の入手先などを捜査することが求められること、暴力団などの反社会的団体とのつながりが疑われ、罪証隠滅のおそれがあるとして身柄拘束期間が長期間に及ぶことがあり得ます。
 認め事件の場合には、覚せい剤の入手ルートをきちんと話、捜査に協力をしていくことはあり得ます。起訴後の釈放に向けて、保釈手続きを行うことが考えられます。
 ご家族からの監護監督を受けること、覚せい剤から離脱するための医療機関の受診、ダルクなどの更生のための団体への参加、ワークシートを行い本人の特性に合わせた更生の準備、社会内での復帰を行うために仕事を探していくなどを行っていくことがあり得ることとなります。

 覚せい剤の否認事件の場合については、いかなる事情により覚せい剤取締法違反が疑われているのかを確認していくこととなります。
覚せい剤の故意があるかどうかについて、争っていく場合があり得ます。荷物を運ぶように頼まれた場合に、内容物を何ら知らなかった事案などは故意がないと争っていくことがあり得るでしょう。
 本来的には、取調べにおいて供述調書の作成に協力しなければならないとの義務まではありません。黙秘権、調査への署名押印を行わないといった調書の作成を行わないといったこととなるでしょう。弁護人に確定日付にて調書を作成してもらうなどの準備を進めていくとよいでしょう。

〇 覚せい剤事案については、重い刑事罰が科されており、早期の身体解放や減刑のための情状弁護、覚せい剤を二度と利用しないための準備について刑事弁護人の支援を受ける必要性が高い案件となります。ご家族が覚せい剤取締法違反事案などにより逮捕・勾留された場合には、当事務所のご活用をご検討ください。

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